パナマ ジャンソン農園 ゲイシャ アナエロビック ナチュラル

パナマ最高峰のゲイシャコーヒー

世界が注目するジャンソン農園のゲイシャ。国際品評会 Best of Panama（BoP）で毎年入賞を果たす、家族三世代の精密農業が生み出す希少なスペシャルティコーヒーです。

農園では、科学的なデータを活用して、ひとつひとつの樹体の成長と果実の品質を精密にコントロールしています。土壌・葉面分析をもとに施肥や剪定を個々の樹体に応じて調整し、化学負荷を最小限に抑えながら、果実の糖度や酸のバランスを最大化。こうした細部へのこだわりが、国際品評会での高評価に繋がっています。

本ロット（Lot GNA 903）では、アナエロビック ナチュラル精製が施され、ジャスミンのような華やかな香り、赤ぶどうやマスカット、オレンジ、パイナップルのようなフルーティな甘み、そしてチョコレートを思わせる穏やかな余韻が見事に調和。火山性土壌や高地の冷涼な気候、そしてジャンソン家の精密な農業哲学が結びつくことで、透明感と複雑さを兼ね備えた味わいが完成しました。

感じられるフレーバー

農園について — 歴史とサステナビリティ

ジャンソン農園は 1941年、スウェーデン出身の創業者によって設立された、パナマでも指折りの老舗ファミリー農園。現在は第二世代・第三世代が管理を継承しています。

農園はパナマ西部チリキ県、ボルカン地域の火山斜面に広がり、標高約1,350〜1,700メートルという理想的な高地環境でコーヒーを育てています。
総栽培面積のうち約50ヘクタールがコーヒー畑で、主力品種はゲイシャ。約70万本のコーヒー樹が育てられ、そのうち高標高アルプス区画においてもゲイシャが栽培されています。さらに、シドラやボルボン・センテナリオなどの新品種を試験的に導入し、品質の多様性と向上を追求しています。

農園では化学農薬をほとんど使わず、有機認証を受けた防菌剤のみを限定使用。剪定はすべて手作業で、土壌分析と生育データに基づく「精密農業（Precision Agriculture）」により、各樹体の養分バランスと生育状況が細かく管理されています。

このような徹底した管理と自然環境への配慮が、安定した高品質豆の生産を支え、コーヒーに“清らかさ”と“品格”を与えています。

テロワール — ボルカンという特別な土地

ボルカン地域は火山性土壌と冷涼な高地気候、そして昼夜の大きな寒暖差を持つ、ゲイシャ栽培に理想的な地です。火山灰由来のアンドソルは保水性と養分保持力に優れ、土壌の陽イオン交換容量（CEC）が高いため、カリウムやカルシウムなどのミネラルが豊富に保持されます。その結果、樹体に過度なストレスを与えず、チェリーがゆっくりと成熟 — 糖分と酸のバランスが整った豆が実ります。

さらに、ボルカンの高度な栽培区画管理と微生物生態への配慮は、火山性土壌のポテンシャルを最大化。結果として得られるのは、明るくクリアな酸と、深く長く続く甘み、そして果実感のある複雑な風味。まさに「テロワール」と「人間の技術」の融合が生み出す、唯一無二の味わいです。

品種 — パナマとゲイシャ品種

「ゲイシャ」は、20世紀前半にエチオピアから導入され、中央アメリカ全域に広がったアラビカ種。特にパナマでは、そのポテンシャルが遺伝的に最大限に引き出され、世界中で「スペシャルティコーヒーの代名詞」となっています。

ゲイシャ品種の特徴は、その圧倒的な芳香複雑性と透明で明快な酸構造にあります。ジャスミンやベルガモット、ピーチ、ハニー、ネクタリンなどを思わせる華やかさ。それに加え、温度変化や抽出条件によって香りや印象が変化し、非常に多層的な体験をもたらします。これは、ゲイシャが高標高・冷涼気候で発揮する芳香代謝の強さと、糖・酸のバランスが整いやすい特性によるものです。

ゲイシャは管理が難しく、収量も低めですが、その希少性こそが価値を高め、生産者にとっては「品質の象徴」であり、世界中のバイヤーにとっては憧れの存在です。

Green Tip Geisha のポテンシャル

この商品に使われているのは、希少性とポテンシャルの高さで知られる「グリーンティップ・ゲイシャ」です。ゲイシャ品種のなかでも、新芽の先端が緑色を帯びるものを指し、その外観的な特徴が名前の由来とされています。通常は新芽がブロンズ色を帯びるものが多い中、グリーンの新芽は明確な差異として目に留まり、鑑識性のひとつになっています。

このグリーンティップ・ゲイシャは、華やかで繊細なフローラルな香味が際立つ点が特に注目されます。多くの評価では、ジャスミンのようなフローラルな香り、柑橘や白桃、ネクタリンなどの果実感、明るくクリアな酸味、そして透明感のある後味が特徴とされており、軽やかでエレガントな「ゲイシャらしさ」を強く感じられるとされています。

ジャンソン農園では、グリーンティップ・ゲイシャのポテンシャルを最大限に引き出すため、土壌・気候・区画管理・精製プロセスを最適化しています。そうした管理と土地の条件が掛け合わさることで、この品種特有の華やかさと透明感、そしてバランスのとれた果実味が、今回のロットにしっかりと反映されています。

プロセス — アナエロビック ナチュラル

今回のロットは、果肉を残したナチュラル精製に、48時間の半嫌気（アナエロビック）発酵を組み合わせたもの。発酵槽内での酵母・乳酸菌働きにより、果実の糖が多様な有機酸や揮発性エステルに変化し、フルーティーでジューシーな香りと明快な酸を生み出します。加えて、発酵中に生成されるグリセロールや多糖類は、液体にシロップのような滑らかさと厚みを与え、コーヒーに豊かなテクスチャーと丸みをもたらします。

その後、ドラム式温度制御乾燥機で約14日間じっくり低温乾燥。水分と香味成分のバランスを整え、酸化を防ぎつつ香りと風味を閉じ込めます。この慎重かつ精密なプロセス管理が、ジャンソンらしい“透明感と深みの両立”を可能にしています。

特別な体験をもたらすカップ

ジャンソン農園が追求するのは、ただ風味が良いだけの豆ではありません。持続可能な農業、自然との調和、品種の可能性、精密な技術、すべてを統合して生まれた唯一無二のゲイシャなのです。
このロットは、あなたのコーヒー体験を、ただの“飲み物”から“特別な贅沢”へと昇華させるものとなるでしょう。
希少性と品質、ストーリー性と味わい.....すべてを兼ね備えたこの豆を、どうぞじっくりと味わってください。

バイヤーコメント

PCRC（Panama Coffee Roasting Championship）のヘッドジャッジとしてパナマを訪問し、15の農園を巡りました。その中で選び抜いたコーヒーのひとつが、今回ご紹介するロットです。

ジャンソン農園を訪れてまず感じたのは、その圧倒的なスケールと環境保全への意識でした。敷地はまるで国立公園のように広大で、自然林を残した区画配置が印象的でした。農園内では施肥の精密管理が徹底され、土壌分析に基づいてミネラルバランスを調整し、微生物生態系を損なわないよう配慮されています。単なる生産効率ではなく、「生態系の一部としての農業」を体現していると感じました。

ボルカン地区は標高が高く、冷涼で昼夜の寒暖差が大きいことが特徴です。また、黒墨土を含む火山性土壌はpHがやや高めで、陽イオン交換容量（CEC）が高く、カリウムやカルシウムなどの養分保持力に優れています。こうした条件が、豆の密度を高め、明るく長い酸と凝縮感のある甘みを形成します。

ジャンソン農園では、ゲイシャ品種だけでも非常に多くのマイクロロットが生産されており、私たちがカッピングしただけでも20種類のサンプルがありました。その中でこのロットは、香り・酸・テクスチャーすべての面で際立っていました。カップからは、ジャンソンらしいグレープを思わせる果実味と、ゲイシャ特有のジャスミンの華やかさが見事に調和しており、力強さと透明感が同居しています。

このロットは、ツアー参加者全員が購入を希望した唯一のコーヒーでした。それは、ボルカンの大地が持つエネルギーと、ジャンソン家の精密な農業哲学が融合した、一つの完成形のように感じられました。（バイヤー佐藤）

【生産国】パナマ
【地域】ボルカン
【農園】ジャンソン農園
【生産者】ジャンソン・ファミリー
【標高】1,700 m
【品種】グリーンティップ・ゲイシャ
【プロセス】アナエロビック ナチュラル
【焙煎度】浅煎り

Country：Panama
Region：Volcán
Farm：Janson Coffee Farm
Producer：Janson Family
Altitude：1,700 m
Varietals：Green Tip Geisha
Process： Anaerobic Natural
Rost Level：Light Roast