







エルサルバドル ブエナ・エスペランサ農園 カスティージョ
ポメロとカカオが重なりあうような味わい
エルサルバドル北東部・カカウアティケ山地に広がるブエナ・エスペランサ農園。スペイン語で「よき希望」を意味するこの農園では、森に暮らす鳥や虫たちの力を借りながら、農薬や化学肥料を一切使わずにコーヒーを育てています。
本ロットは、ポメロのような爽やかな柑橘、完熟したトロピカルフルーツのジューシーさ、そしてカカオニブやアーモンド、チョコレートを思わせるコクが調和した、奥深い味わいを持っています。自然に寄り添いながら、時間をかけて丁寧に育てられたことが、ひとくちで伝わってくるようなスペシャルティコーヒーです。
感じられるフレーバー
生産者のアンドレス・キンタニーヤ氏
私たちが毎年訪れる、想いが込められた農園
ブエナ・エスペランサ農園は、単に素晴らしいコーヒーを生み出すだけでなく、その背景にある哲学や人の姿勢にも深く心を動かされる場所です。私たち自身も、毎年エルサルバドルを訪れるたびにこの農園に足を運び、生産者アンドレス・キンタニーヤ氏やスタッフの皆さんとの対話を重ねています。
農園では、森の生き物たちと共にコーヒーを育てる「自然との共生」が大切にされており、農薬や化学肥料に頼らず、生態系の循環を生かした方法が実践されています。鳥やナナフシなどが自然な形で害虫を抑える環境づくりは、システムとしても美しく、持続可能な農業の模範とも言えるものです。
また、児童労働の禁止はもちろん、スタッフの子どもたちが学校で好成績を取った際にはボーナスが支給されるなど、教育支援にも積極的です。味だけでなく、生産現場の環境や人との関係まで含めて信頼できる、大切なパートナー農園のひとつです。
自然との共存を可能にする「カスティージョ品種」
このコーヒーに使われている「カスティージョ」という品種は、病気に強いように工夫された、いわば “植物のハイブリッド品種” です。病害に弱いアラビカ種と、強さに優れた別の品種を掛け合わることで、農薬に頼らずとも育てやすくなるというメリットがあります。それによってこの農園では、自然の生態系を壊すことなく、森の力を借りた持続可能な農業が実現できているのです。
ただし、こうした品種は収穫のタイミングを見極めないと、味わいに少しとがった酸味が出てしまうことがあります。ブエナ・エスペランサ農園ではその点にも細やかな工夫を重ね、コーヒーチェリーが赤からさらに熟して、深い紫に近い「二藍(ふたあい)」と呼ばれる色になるまで、じっくり待ってから収穫します。この熟度を見極めて収穫することで、酸味はまろやかになり、フルーツのような甘さや豊かな香りがはっきりと引き出されるのです。
自然にやさしい育て方と、味わいへの探究心。この両方がそろってはじめて、カスティージョの持つ本当の魅力がカップにあらわれると私たちは考えています。
ゆっくり乾かすことで、香りと甘さが際立つ
このコーヒーには、果肉を残したまま乾燥させる「ナチュラルプロセス」が施されています。これは、実をしっかりと熟させたあと、果肉ごと天日でじっくりと乾燥させる方法です。高地特有の涼しい気候と、日中のしっかりした日差しが交わることで、果実の香りや甘さが豆にゆっくりとしみこんでいくのです。
ブエナ・エスペランサ農園では乾燥の工程にも細かな配慮が行き届いており、風通しや陰干しのバランスをとりながら、過発酵や異臭を避けるよう丁寧に管理。チェリー由来の赤果実や完熟トロピカルフルーツのような香りと、黒糖やキャラメルのような深みある甘さが調和した、奥行きのある味わいが生まれます。
カスティージョが持つ高い糖度や豊富な前駆体成分が、ナチュラル精製によって最大限に引き出されており、甘くなめらかな質感と長い余韻が印象的なロットに仕上がっています。
味わいの土台をつくる、火山由来の赤土テロワール
この農園があるカカウアティケ山地には、火山由来の赤土「ニトソル」と呼ばれる特別な土壌が広がっています。ニトソルは栄養をしっかり蓄え、植物が必要なときにちゃんと届けてくれる、まさに “働き者の土”。カリウムやマグネシウムといった成分が、果実の糖分や香り成分の形成をサポートし、コーヒーの味にしっかりとした骨格を与えます。
また、土壌にほんの少しストレスがあることも、味によい影響を与えています。これがきっかけで植物の中では香りや酸味に関係する成分がバランスよく生成され、明るくフレッシュな酸とスパイシーなニュアンス、そして透明感のある味わいにつながっているのです。
持続可能性と品質、その両方を追い求めた選択
このコーヒーを買い付けした理由は、大きく2つ。ひとつは、自然と共にある農業を丁寧に実践しているということ。もうひとつは、カップの中にそれがしっかりと表れていたこと。
農薬を使わずに育てる工夫や、教育への支援など、コーヒーができるまでの背景に強く共感していること。そして、熟しきった実から引き出されたまろやかな酸と、果実の甘さ。これまでハイブリッド品種に対して抱いていた印象を、心地よく裏切ってくれました。
美味しさと持続可能性、そのどちらも大切にしたいと願う人にこそ、ぜひ味わっていただきたいコーヒーです。
【生産国】エルサルバドル
【地域】カカウアティケ
【農園】ブエナ・エスペランサ農園
【生産者】アンドレス・キンタニーヤ
【標高】1,500m
【品種】カスティージョ
【プロセス】ナチュラル
【焙煎度】中煎り
Country:El Salvador
Region:Cacahuatique
Farm:Buena Esperanza
Producer:Andres Quintanilla
Altitude:1,500m
Varietals:Castillo
Process:Natural
Rost Level:Medium Roast
コーヒーの保存方法について >>
コーヒー豆は、チャック付バッグに入れてお届けいたします。
背面にはコーヒー豆の焙煎日が記載されています。
<美味しく飲む目安>
ハンドドリップ:焙煎から2〜3週間くらいが豆の持つ風味がバランスよく感じられます。
エスプレッソ:焙煎から3週間前後くらいが甘さを感じやすく、ミルクとの相性もよく感じられます。
焙煎後2ヶ月くらいまでを目安にお召し上がりください。
<長期保存について>
飲みきれない場合は密閉容器で冷凍保存がおすすめです。
冷凍保存の場合は、半年ほどの期間を目安にお召し上がりください。
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高品質なコーヒーを飲み続けられる未来のために私たちができること
高品質なコーヒーを未来にわたり楽しみ続けるために、私たちはダイレクトトレードを推進しています。近年、気候変動の影響によりコーヒーの生産量は減少傾向にあり、2050年には生産適地が50%減少するとも言われています。この問題に対応するためには、生産者が品質維持のための投資を行える環境を整えることが重要です。
そのために、私たちは中間手数料をできるだけ抑えながら、生産者に適正な価格で買い付ける仕組みを構築。これにより、生産者が継続して高品質なコーヒーをつくり続けられる未来を支えています。
ダイレクトトレードの取り組みについて
私たちウッドベリーコーヒーは「コーヒーに携わるすべての人が豊かになること」を目指しています。
【EPISODE OF EL COLORIDO】
の連載で取りあげた「グアテマラ/エル・コロリド」もまた、その目標を実現するための取り組みのひとつでした。
グアテマラを訪れた私たちはそして、もうひとつの夢であったダイレクトトレードをおこなうべく、エルサルバドルへと向かいました。
以下の連載では、私たちがおこなったエルサルバドルとのダイレクトトレードについてお伝えしていきたいと思います。実際に現地訪れた際の農園の姿や生産過程、コーヒー生産にかかわる想いをオリジナルマガジンにて綴っています。
こちらもぜひ合わせてご覧ください。
【DIRECT TRADE WITH EL SALVADOR VOL.1】ダイレクトトレード─夢に向かって
【DIRECT TRADE WITH EL SALVADOR VOL.2】コーヒーが国をつくった─エルサルバドルのコーヒー産業の歴史
【DIRECT TRADE WITH EL SALVADOR VOL.3】エルサルバドルコーヒーとトレンドの転換期
【DIRECT TRADE WITH EL SALVADOR VOL.4】6つの生産地域とパカマラ
【DIRECT TRADE WITH EL SALVADOR VOL.5】「続ける」ことでみえる景色
【DIRECT TRADE WITH EL SALVADOR VOL.6】3年目の旅路
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