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記事: 【Episode of El Colorido: Vol.2】 ナランハレスの人々

【Episode of El Colorido: Vol.2】 ナランハレスの人々

【Episode of El Colorido: Vol.2】 ナランハレスの人々

エル・コロリドは、生産者、消費者、自然環境のすべてにとってGOODで、サスティナブルであることを目指して活動するGOOD COFFEE FARMS(以下、GCF)による「My Farms契約」プロジェクトから生まれたコーヒーです。2022年2月、私たちは農園のひと区画をお借りしたグアテマラのハラパ県にあるナランハレス農園を初めて訪れました。連載の第二回目は、私たちが実際に行った収穫作業と、農園の様子についてご紹介します。


東京からグアテマラまで、眠れるのは飛行機のなかだけでした。ヘトヘトの状態になりながらナランハレス農園につくと、すでに収穫作業を行っているチームに、息つく暇もなく加わります。3つの家族が集まった10人ほどのチームはGCFの契約農園をいくつかまわりながら管理しており、大人から12歳の子どもまでいらっしゃいます。私たちが挨拶をするとあたたかく迎え入れてくれ、すぐに輪のなかに溶けこむことができました。

農園は標高1700m程度に位置し、気温は朝晩は15℃前後、日中は30℃前後まで上昇します。そうした一日の寒暖差のもとで時間をかけて熟したチェリーをピックし、腰に下げたバケツに入れていきます。収穫に適した状態は品種によってさまざまで、実の色づきを見極めながらの作業がつづきます。

私たちはエルサルバドルの農園も訪れたことがありますが、比較すると陽射しが弱い印象を受けました。また、エルサルバドルは収穫の道が整備されていたいっぽう、ナランハレス農園はコーヒーノキがほとんど原生林のような場所に植えられており、最終的には20kg近い重さになるバケツを抱えて急斜面を枝をかきわけて進まなければなりません。大変な作業ではありますが、「写真を撮って」としきりに頼まれたり、スペイン語がわからないながらも賑やかで楽しい雰囲気のなかで収穫を行うことができました。バケツ一杯のチェリーはストック用の麻袋に詰められ、ひと袋で60kg~90kg程度の重さになります。私はというと、そのころには麻袋を持つ気力すら湧かないほど疲れきってしまいました。


しかしそんな大変な農作業よりも、シャワーを浴びることのほうが辛い思い出かもしれません。シャワーは屋外にあり、しかも水しか出ない。先にも書いたとおり夜は気温が15℃前後まで下がります。毎晩シャワーを浴びては布団をかぶり、震えが収まるまで待つしかありませんでした。また、グアテマラは雨季と乾季が明確にわかれており、私たちが訪れる収穫期は乾季にあたります。今年訪れた際には三日ほど断水してシャワーが浴びられませんでした。

基本的に家に帰ったあとはご飯を食べてすこしお喋りをして寝るだけです。ホームステイ先の3人の娘さんと『鬼滅の刃』の話で盛りあがったりもしました。みなさん日本のアニメをスマホで観ているようでしたが、星が見える日しか電波が届かないそうです。はたしてそれがロマンチックといえるかは意見がわかれるところでしょうか。

1週間の滞在期間中、収穫作業と生産処理を2回ずつ行います。それ以外の日は、ほかの生産者のお話を伺ったりGCFへの加入を考えている方に説明を行ったりしました。コーヒーの買い取り価格だけでなく、日本から買いつけにきていること自体をとても好意的に受けとってくださる方が多くいらっしゃったのが印象的でした。

また、ハラパでパカマラ種やゲイシャ種を育てている農園も訪れました。コーヒーノキが整然と植えられており、話を聞くと農園主さんはアメリカで暮らした経歴をお持ちで、農園管理にかんしても単純に国ごとの文化の差というよりも、さまざまなスキルや知識、資産が関係しているであろうことがみてとれました。


グアテマラのみなさんはとても明るく、家族感・コミュニティ感を非常に強く感じました。彼らと過ごし、グアテマラの環境に馴染んで日本に帰ってくると、しばらくのあいだ強い違和感をおぼえたほどです。成田から電車に乗ると、乗客全員が自分の世界をもっている。ひとりひとりの空間がくっきりと区切られているようで「なんだこの世界は!?」と衝撃を受けたことが忘れられません。もちろんどちらが絶対的に良いということではありませんが、日本とは異なるグアテマラのコミュニティを知ることができたのは大きな経験となりました。農園で働く人々の姿を思い浮かべるたびに、エル・コロリドをとおして、コミュニティのあり方をみなさまにお伝えするとともに、彼らにより大きなものを還元していきたいという想いを強くしています。

オリジナルマガジン "Pneuma" ISSUE14 より抜粋

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