エルサルバドル ロス・ピリネオス農園 パカマラ
味わいの特徴
黄桃やマンゴーのような果肉の甘さが広がる、豊かな味わいのスペシャルティコーヒーです。
エルサルバドルのロス・ピリネス農園で育ったパカマラは、エキゾチックなフルーツのような甘さが特徴。黄桃やマンゴーを思わせるジューシーな風味が口いっぱいに広がり、華やかな余韻が続きます。ボディのバランスが絶妙で、飲むほどに新しいニュアンスを発見できるはず。また、雑味のないクリーンな仕上がりは、農園の徹底した品質管理と乾燥プロセスの賜物。季節を問わず、幅広いシーンでお楽しみいただけます。
感じられるフレーバー
赤い火山性土壌と西風が育む、テカパ・チャイナメカの豊かな自然
ロス・ピリネオス農園は、エルサルバドル東部のテカパ・チャイナメカに位置し、独特の自然環境に恵まれています。この地域の赤い火山性の粘土質土壌には、豊富なミネラルが含まれており、それがコーヒーです豆に奥深い風味をもたらします。また、農園のアフリカンベッドは一日中日当たりがよく、また西から吹く一定の風を受け、チェリーを均一に乾燥を行うことができます。これにより、カビの発生が抑えられ、クリアな味わいと安定した品質が保たれるのです。
テカパ・チナメカは、古代火山が作り上げた肥沃な土地が広がり、標高1,400〜1,700メートルの高地に農園が点在しています。同地域は年間適度な降雨量があり、コーヒーの栽培にとって理想的な環境を提供します。ロス・ピリネオス農園は環境保全も重視しており、化学肥料に頼らず自然環境と共生する姿勢を貫いており、次世代の農家にとっても模範的な存在です。
エルサルバドルを代表する品種、パカマラの魅力を考える
エルサルバドルでコーヒーの栽培がはじまったのは1740年ごろ。徐々に生産量を増やし、1860年代半ばから70年代初頭にかけて急激に成長しました。1879年にはそれまで主な輸出品目であった藍(インディゴ)の輸出量を上回り、1940年ごろまでには輸出品目の80〜90%を占めました。
1931年以降政権が不安定な時代が続きますが、その間もコーヒー産業は成長を続け、1975年には世界3位の生産国となり、78年には収穫量が至上最高の20万1千トンに達します。
しかしエルサルバドルのコーヒー産業は、長期的な内戦とサビ病に見舞われます。サビ病は葉の裏にサビのような斑点がひろがり、光合成機能が失われて木が枯れてしまう病気です。強い伝染力をもち、壊滅的な被害をもたらすのです。内戦によって減少した生産量は、さらにサビ病に直面したことで2万トンまで落ちてしまいました。
サビ病によって岐路に立たされたエルサルバドルは、国をあげてコーヒーの品質向上に大きく舵を切り、国際相場に左右されないプレミアムコーヒーの生産を増加させる方策を取りました。生産量で他国に敵わないからこそ、すくない生産量でもしっかり稼ぐことができる仕組みを国全体でつくろうとしたのです。
今回ご紹介するパカマラは、1950年代にエルサルバドルで発見されるも、1980年代に当時の「エルサルバドルコーヒー研究所」に在籍していた遺伝学者アンヘル・カブレラによってパカスとマラゴジッペの交配種として開発されるまで知られることのなかった品種です。高品質であることはもちろん、エルサルバドルで開発された品種ということもあり、今では多くの農園で主力品種として栽培されるようになりました。
同国のパカマラにかける熱量は比類のないもので、誇りをもって栽培されていることが美しい農園の様子からもよくわかります。
パカマラはキャラクターの幅が広く、パカスの遺伝が大きく影響しているものや、マラゴジッペ特徴が色濃く出ているものも見られます。いずれの品質もとても高く、COE(カップオブエクセレンス)で入賞していることも多い魅力的な品種です。
エルサルバドルの歴史と未来を感じる一杯
エルサルバドルが内戦やサビ病といった困難を乗り越え、品質を追求する、ロス・ピリネオス農園のパカマラ。伝統を重んじつつも、品種開発に力を注ぎ続ける農園だからこそ生まれる一杯です。
スペシャルティコーヒーとしてのポテンシャルが存分に引き出されたこのコーヒーを通じて、エルサルバドルの歴史と未来を感じてみてください。
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