記事: 【Portrait of a Brista】大平 七海

【Portrait of a Brista】大平 七海
ウッドベリースタッフのオリジンや内面に迫る「PORTRAIT OF A BARISTA」
今回はウッドベリーベーカリーの大平さんに、6つの質問を答えていただきました。
Q1 生まれ育った街について教えてください。
地元は長崎県の島原半島にある南島原市です。まわりは有明海に囲まれ、半島の中央に雲仙普賢岳という火山があります。火山の恩恵にあずかった土地で、島原手延べそうめんや「かんざらし」という甘味のような湧き水を活かした食べものが有名だったり、道路の脇から温泉の湯けむりがあがっています。ほかにも、海には野生のイルカが 200 頭近く生息していてイルカウォッチングが人気だったり、ロープウェイに乗って見下ろす雲仙のウンゼンツツジがとても 綺麗だったり。海も山も近く自然豊かで、隠れた観光地としてとてもいいところです。
とりわけ、私は自宅の二階からみえる景色が大好きなんです。有明海が見渡せて、水平線の向こう側に熊本県がみえる。自宅からイルカをみたこともあります。朝日がのぼるときは手前にある山の頂上にきれいに重なるのも綺麗。そんなのどかな風景をみて育ったので海が大好きで、いまでも休みの日に無性に海がみたくなって、鎌倉のほうまでいくこともあります。
Q2 バリスタを目指したきっかけは?
幼いころ、家族旅行で「オーシャンアロー」というフェリーに乗って熊本にいっていました。いつも船内がコーヒーの香りに満たされていて、乗るたびに好きな香りだと思っていたことが、私のコーヒーの原体験です。
また、母親がコーヒー好きで、私が中学生になってから、行きつけの「葡萄畑」という喫茶店によく連れていってくれました。白いヒゲを蓄え、いつも蝶ネクタイをした白髪のマスターと、オシャレな奥さんがふたりで切り盛りしていて、カップや照明、空間のすべてにこだわりが詰まっているお店でした。私はいつもクレープとコーヒーのセットで、お砂糖とミルクをたくさん入れて飲んでいました。でもブラックで飲んでいる母の姿にずっと憧れていたので、高校生になって初めて飲んでみたら美味しくて、それ以来コーヒーの魅力に惹かれていきました。「葡萄畑」の素敵な空間と、素敵な老夫婦の姿をみて、自分もいつかこんなお店をひらきたいと思うようになったのが、いちばんのきっかけでした。
Q3 好きなコーヒー豆を教えてください。
とくに印象に残っているのは、エルサルバドル/ロス・ピリネオス農園パカマラ種です。バリスタとしてお店に立てるようになって初めてドリップで淹れたのがこのお豆だったのですが、お客様が「美味しかった」と言いにきてくださったんです。すこし不安もありつつ、そのときのベストを尽くしてお出ししたコーヒーだったので、直接反応をいただけたことに感動して、もっとがんばろうと思えたコーヒーです。
Q4 いまハマっているカルチャー(本や音楽、映画など)を教えてください。
休日に本をもってカフェにいくのが好きです。ひとり時間を贅沢に楽しみたいときは、高円寺にある喫茶店にいきます。水槽の水の音とそこで過ごす人のペンを走らせる音、本のページをめくる音だけが聞こえる静かな空間で甘いチャイを飲みながら本を読んだり、テーブルの引き出しに置かれている、その席に座った人たちが残した日記を読むのが好きです。ここだけは別世界に入りこんだような不思議な感覚になり、安心して自分時間を満喫できるので私にとって特別な場所のひとつです。
Q5 最近食べて美味しかったものを教えてください。
Google マップで穴場のお店をみつけるのがとにかく好きなのですが、海をみに七里ヶ浜にいったときにたまたま見つけたイタリアンレストランが素晴らしかったです。看板もなく、隠れ家のような小さなお店なので名前は秘密にさせていただきたいのですが、駅からすこし歩いて、踏切のない線路をまたいで渡ったところの細い階段をのぼった先の高台にあるお店です。せっかく鎌倉にきたのだからと、しらすのペペロンチーノを食べてみたら、素材の味が引きだされた繊細だけど複雑な味わいで絶品でした。海を一望できるテラス席からの景色も素晴らしく、「一生通いたい」「家族を連れてきたい」と思ったほど素敵なお店でした
Q6 これからの未来のためにしていることは?
私は人一倍好奇心が強く、自分自身の興味や気持ちに素直に従って挑戦することを大切にしています。日々やってみたいことが増えていて、直近だと藍染体験をしました。つぎはフラワーアレンジメントをやりたいのと、夏はサーフィンにも挑戦します。
また、社会人になってから人とのご縁も大切にしています。人それぞれの生き方や考え方に触れて人生の幅が広がりました。つねに変化や成長を求めつつ、私がずっと変わらず大切にしたいと思っているものとのバランスをとりながら過ごしていきたい。せっかくの自分の人生、最高のものにしたいので、そのときどきでベストを尽くしたいと思っています。自分の気持ちに素直になること、挑戦すると決めて行動に移すこと、ご縁を大切にすること、まわりの人に対して感謝の気持ちをもって過ごすことを日々大切にして過ごしています
オリジナルマガジン"PNEUMA" ISSUE35より抜粋