コンテンツへスキップ

カート

カートが空です

記事: 【Portrait of a Barista】星 耀実 / 荻窪店

【Portrait of a Barista】星 耀実 / 荻窪店

【Portrait of a Barista】星 耀実 / 荻窪店

ウッドベリースタッフのオリジンや内面に迫る「PORTRAIT OF A BARISTA」
今回は荻窪店の星さんに、6つの質問を答えていただきました。

 

 

Q1 生まれ育った街について教えてください。

千葉県の富里市という、成田市と酒々井町のあいだにある街です。平坦な台地で牧場や畑がぽつぽつとあり、子どものころの私にはすこし退屈にも思える街でした。両親が成田空港に勤務していたので子どものころは海外旅行にいったり、父親の運転する車で九十九里浜や房総の海にいったりすることが多かったです。
富里市に住んでいると、何をするにも遠くて時間がかかります。でも、それが良かったなとも思います。家で静かに過ごしたり、ときどき海にいったりすることが好きでした。


Q2 バリスタを目指したきっかけは?

子どものころから、絵を描くことと、ものづくりが大好きで、服飾系の学校を出てファッション関連の企業に勤めていました。ただ、たくさんの洋服をつくるうちに、次第に心が離れるようになってきて。そんなときに、父親が毎朝ハンドドリップでコーヒーを淹れていたことを思い出して、その時間に憧れを感じるようになったんです。
洋服は、つくったものが消費者に届くまで距離があることに、もどかしさを感じることがありました。いっぽう、コーヒーや食事は身体に入れるものなので、もっと直接的で密なものづくりができる。お客さまに直接関われることに惹かれて、バリスタになりたいと思うようになりました。
じっさいに働いてみて、日によって味が違うことの曖昧さがおもしろいと感じます。コーヒーの物質そのものも違えば、天気も、感じ方も違う。にもかかわらず、コーヒーの味を取るときに「ポジティブ」と表現するように、美味しさの行きつく先が比較的一点であることに興味をかき立てられるんです。洋服の場合は、ネガティブな要素もポジティブに受けとられることがあるので、コーヒーの「ポジティブ」ってなんだろうと、「美味しい」がどういうことかわからなくなって悔しくなることもあります。舌に落ちたものの味をとおして嬉しくなったり楽しくなったりする味覚体験を考えながら、ものをつくりつづけることが楽しいです。


Q3 好きなコーヒー豆を教えてください。

私はエチオピアのナチュラルが好きなので、いま販売しているエチオピア/シコがとても好みです。桃やアプリコットのような優しくてみずみずしいフルーツの印象と、フローラルなフレーバー、後味にひろがるブラウンシュガーの甘さ。販売前に、焙煎士の今川さんがドリップで淹れてくれたシコを飲んだときに「うわあ、美味しい!これだ!」と、自分にとっての「美味しいコーヒー」を再確認するようなコーヒーでした。


Q4 いまハマっているカルチャー(本や音楽、映画など)を教えてください。

洋服や古着、本や音楽、映画など、私は多趣味というか「物」が好きなのかもしれませんが、最近はそこからすこし離れて、自分が過ごす空間・時間に興味をもつようになり、モーニングにハマっています。
朝起きて、天気や自分の気持ちを考えて着るものや聴く音楽を決める。そうした、いろいろな決定がある朝に、どこでどうやって過ごすかを考えるのが楽しいんです。
先日京都に行った際にも、「jete'」という理髪店をリノベーションしてつくられた喫茶店でモーニングを食べました。ご近所のパン屋さんのパンを使ったトーストと、ゆで卵、深煎りのコーヒー。シンプルなモーニングセットとともに過ごす朝の時間は本当に心地よいものでした。
ふだんは近くの喫茶店やチェーン系のカフェに寄って、スマホから手を離して考えごとをしたり、本を読んだり。最近は古本屋で買った玉村豊男『パンとワインとおしゃべりと』(中公文庫)を読んでいました。ぼーっと必要じゃないようなことを考えたりする時間を大切にしています。


Q5 あなたのリラックス法を教えてください。

散歩をして、そのときにみた植物の絵を描くことが私のリラックス法です。外でスケッチをしたり、カフェに入って描いてみたり。仕事の合間にも、荻窪店に置かれている植物をスケッチすることもあります。
歩いていて、木に生っている果実をみると「ああ、なんて豊かなんだろう」って思うんです。健康に育っている植物のエネルギーを感じて、幸せな気持ちになります。


Q6 これからの未来のためにしていることは?

ウッドベリーに来てくださる方たちの生活の一部として“良い時間”を届けることを大事にしています。私はふだん、あまり人に干渉するほうではないのですが、人の状態や気分は、自分も相手も日によってどう変わるかわからないもの。だからこそ、自分が関われる時間に限っては、なるべく良い気分で過ごしてほしいと思っています。
美味しいコーヒーを追求することは当然として、視覚的に入ってくる情報も大きいと思うので、提供するものの盛りつけや、配膳する際の置き場所、店内に置かれている物の場所など、細やかなところから、店内の空間をつくっていくことを大事にしています。地に足をつけて、日常を心地よく思えるサービスを届けることが良い未来に繋がるのではと思っています。

オリジナルマガジン"PNEUMA" ISSUE42より抜粋

read more

記事を読む

On the Mark : Our Logo's Redesign

Part01 ロゴが描きだす、"これまで"と"これから" 井上 心平 ウッドベリーコーヒーのブランドロゴが生まれ変わりました。九月の玉川髙島屋 S.C. 店のオープンにあわせて、ロゴマークと各種プロダクトのデザインを刷新し、心機一転、新しい一歩を踏み出しました。新しいロゴは木漏れ日をモチーフとしています。「W」の文字を変形し、葉のかたちを模した図柄を四つ繋ぎあわせることで、中央に光を表す図形...

もっと見る
【Portrait of a Barista】星 耀実 / 荻窪店

【Portrait of a Barista】星 耀実 / 荻窪店

ウッドベリースタッフのオリジンや内面に迫る「PORTRAIT OF A BARISTA」今回は荻窪店の星さんに、6つの質問を答えていただきました。     Q1 生まれ育った街について教えてください。 千葉県の富里市という、成田市と酒々井町のあいだにある街です。平坦な台地で牧場や畑がぽつぽつとあり、子どものころの私にはすこし退屈にも思える街でした。両親が成田空港に勤務していたので子どものころ...

もっと見る
Life in a Cup :A Journey of the Senses

Life in a Cup :A Journey of the Senses

Part03 「感性の旅」の果てに 佐藤 優貴 Part1はこちら Part2はこちら 「暮らしに息づくコーヒー」をテーマにお届けしてきた本コラム。ここまで、日常生活のなかでのコーヒーとの向き合い方を考えながら、自宅でコーヒーを美味しく淹れるコツをお伝えしてきました。コーヒーを淹れる際にもっとも重要なのは「どれだけ均一に抽出できるか」ということ。たとえば豆の保存方法がよくなかったり、グライン...

もっと見る
【Portrait of a Barista】 種井清次郎 / 鎌倉店

【Portrait of a Barista】 種井清次郎 / 鎌倉店

ウッドベリースタッフのオリジンや内面に迫る「PORTRAIT OF A BARISTA」今回は鎌倉店の種井さんに、6つの質問を答えていただきました。     Q1 生まれ育った街について教えてください。 鎌倉の笛田という地域です。地理的にいうと大仏殿よりさらに西側にある鎌倉山の麓の奥まった場所で、いまでも僕が生まれたころと変わらず畑や田んぼが残っています。桜並木が有名で、とても綺麗です。鎌倉...

もっと見る
【Portrait of a Barista】鈴木 龍志 / ウッドベリーベーカリー

【Portrait of a Barista】鈴木 龍志 / ウッドベリーベーカリー

ウッドベリースタッフのオリジンや内面に迫る「PORTRAIT OF A BARISTA」今回はウッドベリーベーカリーの鈴木さんに、6つの質問を答えていただきました。     Q1 生まれ育った街について教えてください。  埼玉県の草加市で二十歳まで過ごしました。特徴といえば草加せんべいくらいですが、足立区に隣接しているので15 分で西新井や北千住に出られて、とても住みやすい街でした。高校卒業...

もっと見る
Life in a Cup : A Journey of the Senses

Life in a Cup : A Journey of the Senses

Part02 暮らしで育む、味わいと感覚 佐藤 優貴 Part1はこちら コーヒーは、毎日の習慣として楽しむと同時に、豆の種類や抽出の工夫をとおして多種多様な味や香りに出会える飲みものです。その「美味しさ」に正解はなく、重要なのは、自分の感覚に正直に楽しむことです。しかし私はバリスタとして生きるなかで、味覚や嗅覚に意識を向けることの難しさもよく知っています。見ることや香ること、味わうこと。ど...

もっと見る
【Portrait of a Barista】藤岡 美帆 / たまプラーザ店

【Portrait of a Barista】藤岡 美帆 / たまプラーザ店

ウッドベリースタッフのオリジンや内面に迫る「PORTRAIT OF A BARISTA」今回はたまプラーザ店の藤岡さんに、6つの質問を答えていただきました。     Q1 生まれ育った街について教えてください。 東京都八王子市の南大沢という、多摩ニュータウンにある街で育ちました。東京のほかの市町村や23区と比べると歴史の浅い町ですが、新しく開発された街中は車道と歩道が完全にわかれており、横断...

もっと見る
Life in a Cup : A Journey of the Senses

Life in a Cup : A Journey of the Senses

Part01 暮らしに息づくコーヒー 佐藤 優貴 朝、目が覚めてまずコーヒーを淹れる。日中の作業のおともに、仕事や家事の合間のひと息に。読書をしたり音楽を聴いたりして過ごす、ささやかな時間にそばに置くこともあるでしょう。もちろん、ひとりで楽しむことも、家族や友人とともに味わうこともあります。忙しい日々のなかで、コーヒーは私たちの暮らしに自然と溶けこみ、そっと寄り添ってくれています。しかしなが...

もっと見る
Cup of Excellence : What the honor means. <Part2>

Cup of Excellence : What the honor means.

Part02 コーヒーの評価の向こう側にあるもの - エルサルバドルCOE 参加レポート 佐藤 優貴 Part1はこちら 幸運にも、5月にエルサルバドルで開催されたカップ・オブ・エクセレンス(Cup of Excellence / COE)に参加することができました。「コーヒー界のアカデミー賞」ともいわれ、世界各地の生産国でひらかれる「もっとも優れた品質のコーヒー」を決める品評会であるCOE...

もっと見る
c5dfef4ffca6ca82a4b7d91de4d5809e4501021a63b0cc99c9b0ab479b793206