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記事: Kalita Wave 155 - KENYA THAGEINI / SL28, 34 WASHED

Kalita Wave 155 - KENYA THAGEINI / SL28, 34 WASHED

Kalita Wave 155 - KENYA THAGEINI / SL28, 34 WASHED

サゲイニのオレンジのようなジューシーな酸と、ハニーのような甘みの両立を目指し、ケニアのコーヒーが本来もっている多層的な酸味をカップに落とし込むためのレシピをつくりました。
ドリッパーは、平底形状による均一な抽出を狙って「Kalita Wave 155」を使用します。

レシピの核となるのは、45秒という長めの蒸らし時間です。蒸らしをしっかりとおこなうことで甘みの土台を確実に形成します。そして、つづく 2 投目の注湯量を多くすることで、ケニア特有の明るい酸と甘さをしっかりと引き出すことができます。後半の注湯間隔をタイトにし、苦味が溶け出す前に抽出を終えることで、クリーンカップを守ります。

そうして仕上がったコーヒーは、温かいときはオレンジのようなジューシーな酸が感じられ、温度が下がるにつれてカシスやブラウンシュガーを思わせる深い甘みへと変化していきます。抽出後半に引き出される苦味を抑制することで、ケニアらしい酸味を最後まで楽しめる一杯になっています。ぜひ、お試しください。

使用器具:Kalita Wave 155
フィルター:カリタウェーブフィルター 155
粉量 / 粒度:16g / 中挽き(TIMEMORE C3S 17クリック)
湯温 / 湯量:90°C / 240g(白神山地の水)

時間 – 総湯量(注湯量)
0:00 – 60g(60g)
0:45 – 140g(80g)
1:20 – 190g(50g)
1:50 – 240g(50g)

私は、この近年、ケニアのコーヒーにある違和感を抱いていました。
かつてケニアのコーヒーが誇っていたあの明確なキャラクターは、いまや鳴りを潜め、突出した酸の強度ばかりが目立つようになってきました。
フレーバーの多様性や甘みの奥行きのような、本来備わっていたはずの重層的な味わいが失われつつあるように感じていたのです。

昨年、私はケニアを訪問し、2日間で130種類にも及ぶ膨大な量のカッピングをおこないました。じっさい、そのカッピングのなかでも、私の意識は「素晴らしいコーヒーを見つけだすこと」から「なぜここまで決め手に欠けるのか」という原因の特定へとだんだんスライドしてしまうほどでした。
しかし、そんな心のなかの重たい空気を切り裂いたのが、今回お届けするサゲイニでした。ひとくち含んだ瞬間、私がケニアに求めていたフレーバーの多様性や奥行きを保った、素晴らしいコーヒーだと感じたのです。

ケニアでは、ほかのアフリカの国々と同じく、ウォッシングステーション( 農家から集められたコーヒーチェリーの生産処理をおこなう施設) でコーヒーがつくられています。サゲイニもまた、そのひとつです。
いったい、なぜ、このウォッシングステーションは、理想的なケニア・コーヒーの味わいを保ちつづけているのか。
その答えのひとつは、サゲイニのある中央高原の環境によるものではないかと思っています。

アバーデア山脈とケニア山に挟まれ、両側から吹き下ろされる冷気がプールのように滞留する中央高原は、代表的なスペシャルティコーヒーの産地であるニエリ郡のなかでももっとも激しい温度勾配をもつエリアです。
日中の強い日射が活発なエネルギー生成を促し、それを夜間の極低温による強制的な代謝抑制で豆のなかに封じ込める。その環境こそが、コーヒー豆のなかに多彩な成分を蓄積し、ほかにはない重層的な奥行きを生み出しています。

そしてもうひとつ、ウォッシングステーションを訪れて目にした光景から感じとれるものもありました。自然の恩恵に甘んじることのない努力を窺い知ることができたのです。
私が訪れたときにはすでに全プロセスを終え、工場は静まり返っていましたが、敷地内に置かれた、新設されたばかりのパラボリックドライヤーがひときわ異彩を放っていました。アフリカでパラボリックドライヤーを目にしたのは、このときが初めてのことでした。

パラボリックドライヤーとは、ビニールハウス型の乾燥設備のことです。サイドを開けたり影をつくったり、扇風機を設置したりすることで、気温・湿度・風量をある程度操作することができます。
アフリカの多くの現場では、乾燥を早めること=効率化と捉え、回転率を上げる経済的合理性が優先されています。しかしサゲイニは、プロジェクト・オリジン(ササ・セスティックが創設した生豆買い付け会社)のサポートを得ながら、あえて「乾燥時間を維持する」ための投資をおこなっています。最新の設備を導入し、気候変動による外気温の上昇から「冷気の滞留」という天与の恵みを守り抜いているのです。その品質に対する一貫した姿勢が、重層的なフレーバーを生み出しているのだと感じました。

価格は、ほかのロットに比べればけっして安くはありません。しかし、手を抜いても価格が高騰する現状にあってもなお、「手を抜かず、品質に投資しつづける」という彼らの選択・姿勢に対し、私は対価を払うべきだと即決しました。
サゲイニは、気候変動という抗えない荒波のなかで、プロセスを理解し、軸をぶらさずに戦い抜いている稀有な農園のひとつです。この一杯がもつ、複雑なフレーバーとそれを支える豊かな甘みを楽しんでください。

美味しいコーヒーの淹れ方ガイド

BREW GUIDE

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