記事: BEANDY Silk Dripper - EL SALVADOR TRES POZOS / GEISHA NATURAL

BEANDY Silk Dripper - EL SALVADOR TRES POZOS / GEISHA NATURAL
今回のエルサルバドル/トレス・ポソス農園ゲイシャ種がもつ華やかなアロマ、オレンジやアプリコットのような明るい果実感、そしてやさしい甘さを調和させるためにレシピを組みました。
使用するのは、粉の層が薄く、均一な抽出が可能な BEANDY シルクドリッパー。
抽出のトータルタイムを短くすることでビター感を軽減し、トレス・ポソス農園のゲイシャ種がもつフローラルな印象をより引き出すことを目指します。
そして、前半をしっかりと抽出しながら、後半に抽出されやすい苦味を抑えるために、お湯を注ぐ回数を 4 回に設定します。さらに、2 投目の湯量を増やして甘さを引き出し、味の構成を整えています。
できあがったカップからは、スミレの花やブラックティーを思わせる香りが立ち上がり、口に含むと明るい酸がひろがります。時間の経過とともに、アプリコットのような果実感もくわわり、キャラメルやチョコレートのような甘さへと変化し、豊かで奥行きのある味わいをお楽しみいただけます。
ゲイシャ品種のもつフローラルノートと、アルマンドさんのナチュラル・プロセスによる表現力の高さ、雑味なく洗練された味わいをお楽しみいただければと思います。


今月ご紹介するコーヒーは、エルサルバドル/トレス・ポソス農園、ゲイシャ種ナチュラル・プロセス。私たちがダイレクトトレードを始めた初期からお付き合いのある、大切な農園のひとつです。
農園主のアルマンドさんは「どんなに高値のオファーだとしても、自分のコーヒーを飲んでいない人には売らないんだ」とおっしゃるほど、コーヒーに対して強い誇りとこだわりをもっています。
彼の信念は「環境を汚染しないコーヒー」をつくること。
その想いのもと、トレス・ポソス農園はナチュラル・プロセスにこだわりつづけています。ナチュラルはウォッシュドに比べて水の使用量が圧倒的にすくなく、大切な水資源を守ることができるためです。さらにエルサルバドルは、河川・湖沼がすくなく、気候変動による深刻な水不足が進んでいることも、アルマンドさんがナチュラル・プロセスを選びつづけてきた理由のひとつです。
ナチュラル・プロセスは、乾燥過程で種子が果肉やミューシレージと長く触れ合うため、果実由来の香りや甘さがしっかりと移り、品種の個性がより明確に表れるのが特徴です。エルサルバドルを訪れてテイスティングをおこなった際に、ゲイシャ品種の特徴をひときわ感じたカップが、このトレス・ポソス農園のゲイシャ種でした。その表現力の高さに驚かされたことをよく覚えています。
いっぽうで、ナチュラル・プロセスは品質のコントロールが難しい生産処理法でもあります。果肉をつけたまま乾燥させるため、水分量の高い状態が長くつづき、微生物が増えやすいからです。乾燥が遅れたりムラが生じたりすると、果肉中の糖分が過度に発酵し、不快な風味につながってしまうこともあります。
しかし、トレス・ポソス農園では、乾燥工程を徹底的に管理することでそれを抑え、驚くほどクリーンな味わいを実現しています。とくに今年は、乾燥期間中に雨がつづき、アルマンドさんも「保管と管理が本当に大変だった」と話していました。泊まりこみで雨が降るたびにチェリーに防水シートも被せていたそうです。そうした手間を惜しまない丁寧な仕事の末に、農園には、遠目にみても熟度の均一さがわかる美しいチェリーが整然と並んでいました。その光景をみて、私は「今年も必ず素晴らしいコーヒーができている」と確信しました。
その予想どおりに、スミレの花やブラックティーを思わせるアロマに、オレンジやアプリコットのような明るい果実感、そしてキャラメルのようなやさしい甘さがゆっくりと重なっていく、素晴らしい仕上がりのコーヒーが届きました。

トレス・ポソス農園は、創業してからまだ7年目の比較的新しい農園です。私たちがダイレクトトレードを始めた4年前から毎年農園を訪れていますが、そのたびに必ずなにかしらのアップデートが進んでいます。たとえばドライミルの拡大、アナエロビック・プロセスへの挑戦、より高地での栽培や設備の改善など、品質向上のための変化を毎年積み重ねているのです。今年は、農薬を極力使わず有機肥料を中心とした農法にも取り組み始め、つい先日には陰干し用のパティオも完成したと連絡がありました。
自然を敬いながら、毎年進化するトレス・ポソス農園。 「自然の力で、環境に優しいコーヒーをつくりたい」
そんなアルマンドさんの信念が、味わいにも結びついているのだと思います。








