記事: 【Portrait of a Barista】鈴木 龍志 / ウッドベリーベーカリー

【Portrait of a Barista】鈴木 龍志 / ウッドベリーベーカリー
ウッドベリースタッフのオリジンや内面に迫る「PORTRAIT OF A BARISTA」
今回はウッドベリーベーカリーの鈴木さんに、6つの質問を答えていただきました。
Q1 生まれ育った街について教えてください。
埼玉県の草加市で二十歳まで過ごしました。特徴といえば草加せんべいくらいですが、足立区に隣接しているので15 分で西新井や北千住に出られて、とても住みやすい街でした。高校卒業後からずっと料理人として働いていたので遊んでいたといえるのは学生時代だけですが、日本一大きいショッピングモールといわれる越谷のイオンレイクタウンによく行っていましたね。
Q2 バリスタを目指したきっかけは?
もともとバリスタを目指していたのかといわれると、料理人と半々といったほうが正しいのかもしれません。というのも、いつか自分でお店を出すときに、コーヒーを主体として美味しいご飯と生菓子を出すようなお店にしたいと思っているんです。
そもそもコーヒーを好きになったのは、料理人修行をした越谷のアルベロ・ヴィラッジョというイタリアンレストランがきっかけでした。シェフがコーヒー好きで、おそらく当時レストランとしては唯一、丸山珈琲の豆を直接仕入れてコーヒーを淹れていたお店だったんです。シモネリのアッピア(エスプレッソマシン)やミトス1(グラインダー)を使っていて本格的でした。よくある話ですが、もともとコーヒー嫌いだったのが、そこで美味しさに目覚めてのめりこんでいったんです。
それから料理人として働きつづけてきましたが、そろそろコーヒーを本格的に勉強しようと。そのうえで、流行っていて、かつ、料理やお菓子も美味しいコーヒー屋さんで働きたいと思ったんです。そういうお店は意外とみつからず、ウッドベリーを知って、応募する前に都内の全店舗をまわってみました。そのときに代官山店で飲んだコーヒーが本当に美味しくて、ここにしようって決めたんです。
Q3 好きなコーヒー豆を教えてください。
そのとき代官山店で現店長の魁さんに淹れてもらった、エクアドル/ラ・ノリア農園のゲイシャ種がいちばん好きなコーヒーです。その前に訪れた渋谷店や荻窪店では、行列ができていたのでテイクアウトのコーヒーを頼んで、「どこも流行っていて、雰囲気もいいお店だな」と思いながら帰ったんです。代官山店では店内で飲むことができたので、プレミアムのコーヒーにしようとラ・ノリアを選んだのですが、飲んだ瞬間にライチ感とかわいらしい白いお花を想像させるような味わいが口中にふわっとひろがって、感動的な美味しさでした。
用賀店で飲んだデカフェも美味しかったですが、ラ・ノリアがとくに印象深いので、いまでも華やかなコーヒーが好きです。
Q4 いまハマっているカルチャー(本や音楽、映画など)を教えてください。
正直、飲食費以外にほとんどお金を使わないのですが、メジャーリーグを毎日観ています。もともと野球をやっていてヤクルトファンだったのですが、四年くらい前にたまたまメジャーリーグを観て一気にハマりました。プレーが華やかで、「ピッチクロック」という投球までの秒数制限のルールがあるので、試合のスピード感も速いんです。
いまはセントルイス・カージナルスという赤い鳥がシンボルのチームを応援しています。なかでもノーラン・アレナドとブレンダン・ドノバンが好きです。アレナドはゴールデングラブ賞を10年連続で受賞して、しかもホームラン王も3回獲っている規格外の選手です。ドノバンもピッチャーとキャッチャー以外はどのポジションでも守れる選手。ふたりとも安定して好成績を収めているところが好きですね。
Q5 いま、あなたが淹れたコーヒーを一緒に飲みたい人は誰ですか?
三人いる料理の師匠たちと飲みたいです。先ほど話したアルベロ・ヴィラッジョと、その次に働いていたドンブラボーというレストランのオーナーシェフのふたりはどちらも自分にとって父親のような存在です。それとドンブラボーで知りあった兄貴のようなシェフ。全員、ぼくがバリスタとして働くことを「がんばれよ」と言って背中を押してくれたので、そのときに自分が一番 自身をもって出せるコーヒーを淹れて、一緒に飲みたいなと思います。
Q6 これからの未来のためにしていることは?
どこのレストランでも美味しいコーヒーを飲めるようになってほしいと思っています。個人的に、料理にはこだわっているのに食後に美味しいコーヒーが飲めないことが残念に感じていて。毎月レストランに行っていますが、一般的なコーヒーしか置いていなくて、ハーブティーやデザートワインを頼むことが多いんです。
と同時に、そこにはまだ市場があるのではないかとも思っています。レストランとコーヒー屋というふうに分けるのではなく、飲食業界全体で一緒に盛りあげていきたいんです。だから、そのためにも僕が自分でお店を出して、飲食業界にひろめていきたい。レストラン業界とのつながりはそれなりにもっているので、まずは身近なところから、コーヒーの美味しさを伝えていけたらなと思っています。