記事: 【Portrait of a Barista】小竹 聖也 / 二子玉川

【Portrait of a Barista】小竹 聖也 / 二子玉川
ウッドベリースタッフのオリジンや内面に迫る「PORTRAIT OF A BARISTA」
今回は玉川高島屋S.C.店の小竹さんに、6つの質問を答えていただきました。

Q1 生まれ育った街について教えてください。
世田谷区の砧です。祖師ヶ谷大蔵が最寄りで、都心へのアクセスもよく、砧公園の豊かな緑にも恵まれた街です。
砧には円谷プロダクションがあることから「ウルトラマン商店街」と呼ばれる昔ながらの商店街があります。大きな再開発はされておらず、個人経営のお店が多いので、新しいお店でも、あたたかいローカルな雰囲気をもっているのが魅力です
Q2 バリスタを目指したきっかけは?
姉の旦那さんがドイツの方で、自宅にEK(業務用グラインダー)やTDS計をもっているコーヒーマニアで。そのときは「マニアックな世界だな」と思った程度でしたが、2019年にTOKYO COFFEE FESTIVALに行ったことをきっかけに、自分でもいろいろなコーヒーを飲むようになりました。
自宅でも淹れるようになり、それが一種のメディテーションタイムのようになっていました。もともと建築の仕事をしていて作業のオンオフが切り替えにくかったのですが、コーヒーに集中する時間が頭をリセットしてくれたんです。でも、レシピどおりに淹れても、なぜかお店ほど美味しくはならない。なんで美味しくならないんだろう?と腹が立つくらいでした(笑)。
バリスタになろうと思ったのは、オーストラリアのカフェ文化に触れたことも大きかったです。店員さんが友だちのように接してくれて、お客さんも親戚の家のように使っている。その光景をみて、日本でもバリスタの人柄が滲みだしているお店のほうが自分は好きで、心地よいのだということに気がつきました。そして、そのひとつがウッドベリーの用賀店だったんです。
じっさいに働きはじめて、美味しさが成分や数値など、ロジカルな面から追い求められることに驚きました。同時に、味だけでなく、無意識に心地よいと感じるような数値で表せないものが与える影響の大きさも実感しました。お客さまへの接し方はもちろん、コーヒーについて語り合い、それぞれの「美味しい」の基準を擦り合わせながらひとつの味をつくっていくという営みがあるからこそ、コーヒーへの愛情が滲み出るお店になるのだと感じました。

Q3 好きなコーヒー豆を教えてください。
たまプラーザ店で (諏訪) 良太郎さんが淹れてくれたエクアドル/ラ・ノリアのゲイシャは、飲んだときに「美味しい」ではなく「わお、わお、わお」と思わず声が出るほどでした。味わったことがないほどクリーンで、頭のなかに白い花のイメージがバッと出てくるほどフローラル。こちらが味を評価するよりも前に、コーヒーが「美味しいだろ?」と言ってくるような強さを感じました。国名やプロセスでしか選んでいなかった自分が、初めて農園名を意識するようになった豆でもあります。
Q4 いまハマっているカルチャー(本や音楽、映画など)を教えてください。
いまでも雑誌『新建築』を購読しています。
学生時代、教授が「人のための建築は地球 にとってはゴミになるかもしれない」と言っていた言葉が忘れられなくて、そのうえで人はどうやって建築をつくってゆくのか、建築家の取り組みや考えを知りたいと思っています。
好きな建築家は、谷口吉生。「神は細部に宿る」ではないですが、直線を基本に、細部まで洗練された建築に惹かれます。
谷口が設計した「広島市環境局中工場」というゴミ処理施設にも行ったことがあります。広島の都市復興計画の際に丹下健三がつくりあげた、平和記念公園内の原爆ドームと慰霊碑と広島平和記念資料館を貫く南北の軸線をふまえて、それを取りこむような設計がされているんです。二階の窓からみると、その直線がきっちり揃うようにつくられていて、官能的ですらある。場所性に対してリスペクトをもって向きあう建築は、本当に素晴らしいと感じます。
Q5 玉川髙島屋 S.C. 店の気に入っているところを教えてください。
席のバリエーションがあって、それぞれで雰囲気や味わいが変わるところです。
カウンターではバリスタと向き合い、豆の香りを嗅ぎ、説明を聞きながら淹れてもらったコーヒーを味わえるので、リッチな体験になります。通路側の席は半個室のような中間領域で、自分の世界やコーヒーに浸ることができる。テーブル席は誰かと一緒に楽しめますし、エントランス側のテラス席は空間に余裕があるので、ベビーカーやお子さま連れのお客さまにも安心して過ごしていただけます。子どもをあやしながら親御さん同士の時間を過ごされている様子をみると、こちらも嬉しくなります。

Q6 これからの未来のためにしていることは?
未経験でコーヒーの世界に入ったので、誰かに「美味しい」と感じてもらうために提供することは初めてでした。そのため、これまで個人的に「美味しい」で終わっていたものを「なぜ美味しいのか」とより深く考えるようになりました。いまはコーヒーに限らず、空間づくりも含めて「美味しい」につながるものを探すようにしています。







