
【Portrait of a Barista】諸岡 大二郎 / 代官山店
ウッドベリースタッフのオリジンや内面に迫る「PORTRAIT OF A BARISTA」
今回は代官山店の諸岡さんに、6つの質問を答えていただきました。

Q1 生まれ育った街について教えてください。
福島県の県中地区、山間の谷あいにある石川町で育ちました。町全体に2000本以上の桜の木が植わっており、とくに街の中心部を流れる2つの川沿いの桜並木は「桜谷」と呼ばれて親しまれています。
高校からはべつの地域に通うようになったのですが、その学校には留学に行く人が何人もいました。地元のすこし閉鎖的なところが肌に合わなかった自分は、その影響を受けて海外に憧れるようになりました。
そして地元を出て神奈川の大学に入ったものの、3カ月で辞めてしまいました。それは「映画監督になりたい」という高校生のときからの夢のためだったのですが、「世界をみてみたい」という思いも捨てきれず、まずはバックパッカーとして旅をすることに決めました。フィリピンからシンガポールへ行き、陸路でベトナムまで。それ以来、旅に魅了されて、世界中を巡ってきました。
Q2 バリスタを目指したきっかけは?
アフリカを縦断した際に、タンザニアのキリマンジャロの麓にある町に行きました。そこでコーヒー農園ツアーに参加し、収穫やプロセスをみせてもらって、焙煎したコーヒーを飲ませてもらったんです。焦げ焦げのコーヒーなのにすごく美味しくて、彼らが踊りながら臼と杵で砕く様子も楽しかった。もともとコーヒーはすこし好きでしたが、改めて「素敵だな」と感じて、心のどこかに「コーヒーにかかわりたい」という気持ちをもつようになりました。
そしてその数年後にオーストラリアのメルボルンに行くことして、せっかくならとバリスタとしてのスタートを切ることにしたんです。メルボルンでは何十軒ものカフェに応募して、運よく個人経営の小さなカフェで働くことができました。いろんなバリスタの方と出会ったり、あちこちのカフェで開かれていたパブリックカッピングに参加したりするうちにどんどんコーヒーに夢中になり、ステップアップのために焙煎所も兼ねた大きめのカフェに移りました。そこでも焙煎士さんにコーヒー理論を教わったりして、成長する機会を得られました。
流れに身を任せるような人生を送ってきましたが、そうした経験を重ねるうちに、いまはコーヒーの世界に辿りついたと思っています。きっかけがキリマンジャロの農園だったからこそ、「世界を旅する」という点では同じでも、今度はダイレクトトレードを通じて産地に行くことを夢みています。

Q3 好きなコーヒー豆を教えてください。
コロンビア/ラス・フローレス農園ピンク・ブルボンのデカフェです。これまで自分はデカフェを飲まず嫌いしていたのですが、このお豆は、明るいみかんのような味わいとアフターにかけて感じられる甘みが印象的で、個人的にも大好きなピンク・ブルボンの華やかさがハッキリと感じられることに驚きました。デカフェへのイメージが覆されて、虜になったコーヒーです。
Q4 いまハマっているカルチャー(本や音楽、映画など)を教えてください。
ペン画を描くことがライフワークのひとつです。もとは落書きから発展して描きはじめたのですが、旅のなかで得たインスピレーションや日ごろ感じたことを絵に表現していて、今度小さな個展もひらきます。
ジャンル的には細密画といって、A4サイズ程度の紙にモノクロで細かく描き込む作品が多いです。たとえばタンザニアのティンガティンガアートのようなカラフルな色合いにも負けない力強さをもったものが描けたらいいなと思っています。
描いているあいだは、忙しない日々から自分を切り離して没頭できる、一種の瞑想のような効果があります。自分との対話のような、心を落ち着かせる大切な時間です。
Q5 あなたのリラックス法を教えてください。
メルボルンから帰国して上京し、不慣れで落ち着かない日々がつづいていました。運動をしていなかったこともあり気分も落ち込みがちだったので、ようやく最近ジムに通いはじめました。
ありきたりですが、ジムで汗を流して、併設されているお風呂とサウナに入ると「今日も一日がんばったな」と思えてリラックスできます。エネルギーも湧きあがってきて前向きな気持ちになれるので、ふだんの営業中も「この元気をお客様に渡そう」と自然と思えるようになりました。

Q6 これからの未来のためにしていることは?
いつか現地に買いつけに行きたいという夢にもつながることだと思いますが、バリスタとして生産者と消費者をつなぐ役割をどのように全うしてゆくかが大切だと思っています。
コーヒーの2050年問題を前に、気候変動の影響で従来のコーヒー生産が難しくなってゆくなかで生産者さんが持続的に農園を経営できる状況をつくるためにも、ひとりでも多くのファンをつくることが大切だと思っています。
そのために、いまはまず、目の前のお客様を楽しませることはもちろん、ひとつひとつのコーヒー豆の背景をしっかりお伝えするように心がけています。







